学会のポスター発表とは?作り方から当日発表の流れまでを解説
目次
そもそも学会でのポスター発表とは?
ポスター発表とは
学会におけるポスター発表とは、研究の内容をまとめたポスター(サイズ感としてはA0程度の大きなもの)の前で行う研究発表プレゼンテーションの一種です。
通常発表に用いるポスターは発表者が準備します。学会やその発表を行うイベントによりポスターサイズや演題番号を含めるなど各種規定がありますのでポスター作成前に確認してください。
学会の会期中に設置時間、撤去時間が設定されます。ポスターを設置用のパネルに貼り付けるための画鋲などは学会側で準備されていることが多いです。
会期中はポスターは自由に閲覧されます。ポスター発表の時間にはファシリテーターとして座長が順番にプログラム内の演題を周るイメージです。
撤去したポスターは基本的には発表者が持ち帰る、もしくは学会側で処分することになります。
口頭発表(口演)との違いは?
口頭発表(口演)は発表者がステージに登壇してパワーポイントなどを用いて発表を行う一般的にイメージされるプレゼンテーションといったイメージです。
口頭発表(口演)ではどちらかと言えば発表時間と質疑応答時間が別々に設定されています。一方ポスター発表では参加者との距離が近いことからどちらかと言えば聴衆とコミュニケーションをとりながら発表を進めていくこともありますので、より柔軟に発表を行なっていくことが大切です。
その他の口頭発表(口演)との違いを表にまとめました。
学会での発表が初めての方はまずはポスター発表からという方も多いのではないでしょうか。ポスター発表は物理的に聴衆の人数が限られていることや対話を中心の双方向のコミュニケーションが取りやすい点から一般的にはポスター発表の方がハードルが低いと言えるのではないでしょうか。
発表用ポスターの作り方・押さえるべきポイント
ポスターのサイズやその他規定は学会や発表するイベントによって異なります。まずは規定を確認するようにしてください。
ポスターを作る上で押さえるべきポイント
ポスターを制作する際には下記のような点に気をつけてください。
- 構成は抄録、論文などの流れに沿うように
- 遠くからでも見やすいフォント/サイズ
- 一貫性のある余裕を持った余白
- 色を使いすぎない(2-3色まで)
- 装飾を使いすぎない
- 規則性のあるレイアウト
それぞれ詳細に解説します。
1. ポスターの構成は抄録、論文などの流れに沿うように
基本的にはポスターの構成は抄録、論文などの流れに沿うようにしてください。一般的には「背景」「目的」「方法」「結果」「考察」「結語」といった流れになるはずです。図表などを効果的に用いて参加者の興味を引くような内容にしてください。
2. 遠くからでも見やすいフォントやサイズを選択
ポスター発表では聴衆は立って発表を聞くことから、遠くからでも見やすいフォントやサイズでポスターを作ることが大切です。
また限られたスペースの中では全ての文字を大きくすればよいわけではなくメリハリが必要です。演題名やそれぞれのパートの見出しの文字を大きくするなど工夫してください。
学会でよく採用されるA0サイズのポスターを例にすると演題名 70~100pt・発表者/著者名 50pt・見出し 60~70pt・本文40pt~60pt(文量に応じて)を目安にしてください。
フォント種類も重要です。日本語はゴシック体、英文はサンセリフ体が視認性の良いフォントとされています。具体的には以下のようなフォントがおすすめです。
日本語の場合Windowsならメイリオ/游ゴシック、Macならヒラギノ角ゴシック。
英文(欧文)にはWindowsならCalibri、MacならHelvetica Neueなどがおすすめです。
ポスター発表ではフォントで独自性を出そうとすると見やすさに支障がある場合がありますので注意が必要です。
3. 一貫性のある余裕を持った余白
ポスターの周囲=内容の外側部分と各セクションごとには余白をとることを意識してください。
外側は3cm~5cm程度、各セクション間は5cm程度がおすすめです。
余白がないと詰まりすぎている読みにくいイメージをを与え、聴衆に敬遠される恐れがあります。
また余白は一貫性を持って設定することによって美しい仕上がりとなります。
4. 色を使いすぎない(2-3色まで)
たくさんの色を本文に使用すると読みにくいポスターになります。色は多くても3種類程度とするようにしましょう。メインとなる色を一色とアクセントとなる色を1~2色を選択してください。また色の使い所にも一貫性を持たせるようにしてください。アクセントカラーを多用しすぎるとアクセントの効果が薄れますので注意が必要です。
5. 装飾を使いすぎない
ポスター発表はあくまで研究発表を読みやすくまとめるという目的がありますので、過度な装飾はしないようにしましょう。
6. 規則性のあるレイアウト
スライドを順番に貼り付けただけのポスターもありますが、今回は見やすいポスター発表の観点からレイアウト
逆N型、Z型のレイアウトにすると自然な目の動きとなります。
印刷、会場への掲示方法
小さなスライドを印刷してポスターとする方もいらっしゃいますが、ここでは大きな前述のA0サイズなど大判を印刷する方法をご紹介します。
1. 学会手配の印刷会社
学会によってはポスター発表の案内に印刷の案内まで載っている場合があります。メリットは印刷会社を選ぶ必要がないこと、学会が選んでいるので一定の信用があることなどです。費用は一般的には10,000円~14,000円が多いです。また印刷会社での会場納品や掲示までやってもらえる場合も多いので確認してみてください。
締切があるので利用したい場合は必ず事前に確認してください。
2. 自分で学会専用のサービスに依頼する
1.を自分で探すバージョンです。「学会 ポスター印刷」で調べると多くのサービスが出てきます。
掲示まで担当してもらえるかは会場などによる場合があるので要注意です。
3. ビジネスコンビニ
ビジネスコンビニとして知られるkinko's等の店舗でもポスター印刷の依頼が可能です。
当日緊急の印刷の依頼にも対応してもらえるのが大きなメリットです。
発表の流れ・当日の注意点
当日の発表の流れ
会期中は以下のような流れになります。
- 決められた時間にポスター掲示(発表当日とは限りません)
- 発表時間がある場合はその時間にポスター前で発表
- 決められた時間にポスターを撤去
発表の際の押さえるべきポイント
発表の際は以下のような点を意識してください。
聴衆が回遊するポスター発表では短時間で簡潔に説明を行うことが重要です。そのために事前に練習をするようにしましょう。発表者要項に発表時間や質疑応答時間が定められている場合がありますのでその時間内で全体を説明できるように練習することが大切です。
ポスター発表では複数人が同じ会場内で同時に発表することもよくあります。そのため小さな声では折角の発表内容が聞こえないことも。一番遠くの方に話しかける意識で発表してください。
初めての方にはポスター発表の雰囲気を掴むためにできれば他のポスター発表を聞いてみることもおすすめです。
実りのある発表になることをお祈りしております。
紙のポスターは折り目がつく?対処方法は?
大判の紙のポスターを会場に運ぶ際、折りたたむと折り目がつくのが気になりますよね。
折り目をつけないためには以下のような対処方法があります。
印刷会社へ掲示まで依頼する
前述の印刷の依頼先を掲示まで対応してくれる依頼先を選びましょう。プロに依頼するのが一番安心ですね。
ポスターケースを使用する
学会発表用のポスターの運搬には一般的なのがポスターケースです。学会に参加したことのある方は円筒(黒色であることが多い)を持った方を見かけることも多いのではないでしょうか。
布のポスターを採用する
学会のポスター印刷サービスでは紙のほかに布製のポスターに対応しているサービスがあります。
布製のポスターは紙とは違い、折り目がつきにくく、破れることもありません。あまりポスター自体に気を使わなくてよくなるので発表に集中できますね。
デメリットとしては商品によっては発色が悪くなる可能性があること、費用が紙と比べると割高になることです。また水に濡れるとインクが滲む可能性があるので注意しましょう。
ポスター用の印刷用紙の比較はこちらの記事をよろしければご確認ください。
ポスター発表にも使える演題登録システムは?
ポスター発表を行う前段階では演題登録(抄録提出)を行う必要があります。
学会運営、管理者の方におすすめの演題登録システムは「Convention Connect(コンベンションコネクト)」です。
「Convention Connect(コンベンションコネクト)」は無料から使用できる学会・研究会・講演会専用のシステムです。準備期間不要で演題登録をすぐに始めることができ、投稿者への便利なメッセージ機能もついています。
演題登録機能は図表やファイルの提出にも対応しています。
さらに学会・研究会・講演会に必要なその他の参加登録システムやライブ・オンデマンド配信もついてきます。
お気軽にお問合せください。
Convention Connect
(コンベンションコネクト)
Convention Connect会議ディレクターです。数多くの学会運営準備、オンライン配信支援、ホームページ作成など実務の経験から学会開催に関するお役立ち情報を発信しています。
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