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学会の抄録とは?書き方や論文や要旨との違い、注意点についても解説

コラム
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学会における「抄録」という言葉はなんとなく知っているけど、改めて考えてみると説明が難しいのではないでしょうか。似ている単語(論文・要旨・予稿)などとの違いや書き方、さらには抄録を執筆する際に気をつけるべき注意点をご紹介します。

そもそも学会・研究会における抄録とは?

抄録の読み方や英語では?

「抄録」は「しょうろく」と読み、辞書的な意味合いでは「原文から必要な部分だけを書き抜くこと。」という意味で英語ではAbstractです。

一方、学会の学術集会や学術大会、年次集会などにおける「抄録」は演題を発表するために提出する発表内容を要約した文章のことを指します。学会の参加者は抄録をまとめた抄録集をもとにどの発表を聴講するか決めます。

通常学会ごとに字数(例えば400文字)や提出フォーマット(フォームやワード、著者数)の制限があります。学会ごと、演題募集ごとに違うこともあるので抄録を提出する方は必ず確認してください。

WEB上で入力する形式から、ワードのテンプレートファイルで提出する場合やPDFで提出する場合など提出方法は学会によって様々です。

学会単位で演題を公募する演題登録期間が事前に設けられることがあります。募集期間は数ヶ月間であることが多く、募集開始は早くとも前回大会終了後、会期2ヶ月前頃には募集終了となることが多く、長くとも数ヶ月であるケースが多いです。

演題登録締め切り後、応募された演題を担当者が査読、採択した上で「抄録集」として冊子として印刷するかPDF等で電子化し、当日配布、もしくは事前配送されます。

その後、基本的に発表をすることになりますが学会発表のスライドのポイントはこちらの記事でご紹介しています。

ポスター発表に採択された場合ポスターの作り方はこちらからご確認ください。

論文・要旨・予稿との違い

論文との違い

「抄録」は「論文」を端的にまとめたものであると言えます。抄録を読めば、論文全部を読まなくても、論文の要点と結論がわかるという関係性です。

要旨との違い

ほぼ同義語として使われることが多いです。学会によって「要旨」と呼ぶか「抄録」と呼ぶかが違う場合があります。

英語で要旨はAbstract/Excerpt/Proceedingと訳されます。

予稿との違い

予稿は英語ではPreprintと訳され、論文原稿(ドラフト)の最終版ということが言えます。抄録が発表内容を要約したものとされる一方予稿は発表原稿という意味合いがあることがあります。

抄録は400字程度の場合がありますが、予稿はA4サイズの原稿1~2枚といったイメージであることが多いです。

抄録の構成・書き方

学会発表における抄録は抄録本文の他に「演題名(抄録のタイトル)」「共著者名」「キーワード」「連絡先」などを提出することが多いです。

抄録本文は通常「背景」「目的」「方法」「結果」「考察」「結語」という6つのパートで構成されます。字数制限にかかる場合は「考察」「結語」は省略しても良いとされている場合もあります。

抄録本文を「背景、方法、結果、結論」と分けてその比率が「2:3:4:1」とするのが黄金比率であるとする記事もあります。多少分量の違いは発生するものの「方法」と「結果」の文字数が多くなることが多いです。

背景

背景には、その研究を行うにまでの経緯や理由を記載します。

現在までの研究でどこまでが解決されているのか、どの部分が未解決かを明らかにしこの研究が取り組む課題や意義を明確化しすることが目的のパートです。

目的

端的に言うと「目的」は「この研究でのゴール」を示すパートです。

具体的にどのような課題を解決、解明することをゴールとしているのか、そのゴールに到達するために、どこに新規性(先行研究と違う点)を持たせるかを明確にしてください。

新規性を持たせるためには先行研究を調査する必要があります

方法

「方法」には前述の「目的」を達成するための具体的な手法を記載します。実験デザイン、データの収集方法や解析方法など、実験がどのように実施されたかを記載します。

文字数に余裕がある場合にはデータの取得方法や使用した機器やソフトウェアなどを明確にし、読者にこの研究が妥当な方法で実施されたが読んで分かるようにすることが重要です。

この際「結果」「考察」を含ませてしまいがちですがこのパートではあくまで「方法」のみを記載するようにしてください。

結果

「結果」のパートには前述の目的に向けて「方法」のパートで示された方法で実施された結果を客観的な数値等で示すことが重要です。

あくまで「客観的な数値」などの結果を可能な限り詳細に記載してください。

主要な結果からより詳細の結果へと順番に記載することにより読者にとって読みやすくなります。

考察

「考察」では前述の結果から得られた新しい発見や今回の研究の意義を記載します。

先行研究からの流れを意識してどのような点に今回の研究した価値があったのか、また前述の「目的」に到達したのか、想定していなかった結果であったのかを記載してください。

また結果に条件などがある場合はどのような条件であれば今回の結果に合致するのか、またどのような条件であれば合致しないのかを記載します。

結語

「結語」は端的に言えば研究全体の内容の総括です。

また研究全体を総括するだけではなく今後の展望も併せて記載すると良いでしょう。

抄録を作る際の注意点は?

抄録を執筆する際には提出である学会等の規定を確認する必要があります。例えば下記のような点での規制がある場合があります。

文字数制限

ほとんどのケースでは抄録には文字数の制限や目安があります。文字数を超過するとそもそも提出できないこともありますので必ず確認するようにしてください。

使用できるHTMLタグ

抄録を記載する際にはHTMLタグを使用できることがあります。

例えば下付き文字を使用したい場合H<sub>2</sub>Oと記載します。

タグが使用できるかまた使用できるタグの種類は演題募集によって違うこともあります。

共著者数

抄録を提出する際には共著者も同時に入力することが多いです。その際最大の著者数の規定がある場合もありますのであらかじめ確認してください。

ですます調を使わない

通常「ですます調」は丁寧な印象を受ける表現ですが、抄録においては「ですます調」は避けるべきで「である調」を使用してください。

体言止めを使わない

抄録においては体言止めは避けるべき表現です。体言止めを使用することにより文章間の繋がりがわかりづらくなり、抄録の本来の内容が伝わらない可能性があります。

引用する場合は記載方法に注意

研究内容を補強するために引用が有効な場面もあります。引用をする際には「」や""を使用して本文とは区別できるようしておく必要があります。

また引用した文献は最後に参考文献として記載することを忘れないようにしましょう。

謝辞が可能な場合は記載

謝辞とは研究の指導や支援を受けた方に対して感謝の意を示す箇所です。謝辞をそもそも削除すべきとする学会も存在しますので注意が必要です。記載することが可能な場合、具体的には下記のような記載例があります。

「本研究にご協力いただいた○○大学○○教授、○○先生に深謝致します。」

共同演者・共著者とは?記載の注意点

「共同演者・共著者」とは共同で研究を行なった研究者のことです。

抄録を提出する際、「共同演者・共著者」が存在する場合は入力してください。その際の記載順にも意味があります。記載順の意味は大きくは国内外の学会によって異なります。

共通している部分

1番目にはこの研究を主導している著者を記載します。

「筆頭著者」「ファーストオーサー」「リードオーサー」などと呼ばれます。若手研究者の場合、「筆頭著者の論文をどれだけ執筆しているか」が評価になります。

以降は研究への貢献度順で記載します。

国内、国外で違うのは?

大きく異なるのは最終著者(ラストオーサー)の扱いです。欧米ではあくまで研究への貢献度順に記載しますが、日本では研究室や施設の責任者、リーダーの氏名を記載する慣例があります

どちらの慣例に従うかは提出先によって変える、また上長に確認する方が無難です。

筆頭著者が発表者?

学会によっては原則筆頭著者を発表者とする学会もありますのであらかじめルールを確認するようにしてください。

抄録の収集、検索に対応したシステムは?

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